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健診業界の変革 異業種参入がもたらす競争と成功の秘訣

健診業界の変革 異業種参入がもたらす競争と成功の秘訣

コラム

近年、異業種から健診業界への参入が目立っています。この傾向は業界の競争を激化させる一方で、新たなビジネスチャンスをもたらしています。
今回は、健診業界への異業種参入の現状や成功のための市場調査の重要性について、
大手銀行で法人営業を経て医療法人の健診事業部長として年間5万人の受診者を獲得する手腕を発揮した株式会社健診ソリューションズの代表取締役、嶋氏が解説します。

1.健診業界への異業種参入の現状

近年、異業種から健診業界への参入が増加しています。例えば、高級施設健診を提供するハイメディック(リゾートトラスト)や、東京などの都市圏で展開している桜十字クリニック(再春館製薬)などは、多くの方に知られているでしょう。

前提として、「株式会社」が健診業務を行うためには「医療法人」の法人格が必要です。
「医療法人」の取得には、都道府県ごとに異なる手続きや審査があり、一般的に半年以上の時間がかかります。さらに、申請には各種要件を満たす必要があり、一般法人に比べて取得の難易度は高いです。そのため、株式会社が医療法人をM&Aにて取得することで、健診事業に参入するケースが増えています。

また、健診施設の開業には、物件の取得(賃貸物件も含む)や検査機器・健診システムの導入、広告費など莫大な初期投資が必要になります。また医師やスタッフをまとまった人数で採用することも必要です。こうした資本力が必要になるのは言うまでもないことです。

営利を目的とする「株式会社」が資本と労力を投入して、健診業界に参入するということは利益を出せる」という算段があってのことです。そこで今回は健診事業参入で利益を出すために必要なことを考えてみましょう。

2.新規参入の勝ちパターン

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新規参入に際して最も重要なことは、事前に行う市場調査です。綿密な調査を基に、開業場所(立地)を決定することが重要なポイントとなります。意外に思われるかもしれませんが、立派な施設や最新の機器、優れたスタッフが揃っていても、立地が悪ければ経営は厳しくなります。

では、どのようにして立地を決めるのか。

前回のコラムでもお話しした通り健診施設の経営の安定のために必要なことは法人契約、つまり企業の定期健診の契約をとることです。

となると、健診施設の立地は単に「人口」の多いエリアではなく、「法人契約で見込める受診者数」の多いエリアである必要があります。
その鍵となるのが従業員数のわかる法人リストを活用することです。この資料を基に、多くの受診者数が見込めるエリアはどこか、また競合施設がいくつあるかをマップにピンを立てて検討します。見込みを立てたら、実際に競合施設を訪れて調査をすることもあります。(後述しますが、特に内視鏡検査の枠数は重要な情報です。)

市場調査とともに重要なポイントは収支計画の策定です。健診施設の稼働率を高く保ち、収支を安定させることを目指します。健診事業は初期投資の大きさから、最初は赤字になりますが、しっかり渉外が契約をとり、施設の稼働率を上げていけば3年程度で黒字、5年で15%~20%の経常利益を出せると考えています。

3.医師の採用と業務DXのポイント

立地と収支計画が決まれば、物件の改装や検査機器、健診システムの検討・導入、ホームページの立ち上げなどの広報活動とともに、スタッフの採用も必要です。中でも、初期費を大きく左右するのは、検査機器や健診システムの導入です。そこはディーラーにお任せするという事業者も多いと思いますが、当社ではディーラーを通さず行います。各々の特徴や適正価格を把握していれば直接メーカーに価格交渉が可能ですし、中間コストを抑えることができます。

スタッフの採用に関しても、最初に契約条件を提示します。特に医師は「内視鏡検査を1日〇件実施すれば日給〇円」というように、明確に数字を示すことが肝心です。内視鏡検査の枠数は集客に直結します。ここを手厚く手当することは経営の安定に直結するため、医師にも納得して契約していただく必要があります。最初にきちんと条件提示をすることがスムーズに進めるコツだと感じます。

また、既存施設も同様ですが、受付や応対スタッフについて人数や質を確保することが難しいと感じておられると思います。

そこで検討いただきたいのはWEBでの予約・問診・結果送付が可能なシステムを導入することです。特にWEB予約は必須と考えます。と言いますのも、電話対応は一定のスキルが必要であるため教育コストがかかります。またクレームにつながる可能性もありスタッフの心理的負担が大きいです。

問診も手戻りや確認事項が発生しやすく、業務を圧迫します。また問診用紙を見ながらの手入力はどうしてミスが発生しがちです。事前のWEB問診または当日にタブレット等で問診を行うことで手入力を減らすことができます。電話応対と問診の手戻りや手入力を減らすことができれば受付業務はぐっと軽減します。

もちろん既存の施設では電話応対をゼロにすることは難しいと思います。可能であれば、企業の定期健診からWEB導入していくことをお勧めします私の経験では、企業の定期健診はWEB導入に抵抗がなく、ほとんどのケースでOKしてくださいます。こういった意味でも、企業の定期健診契約を多くとることが、健診施設の稼働率を上げるポイントになると思います。

また、結果の送付についても、WEBで行うことで印刷や郵送の手間やコスト、ミスを軽減できます。企業の定期健診では、基本的に健康な方が受診するため、結果をしっかり確認する方は少ないのが実情です。必要な時にWEBで確認できるほうが便利と感じられることも多いので、提案してみる価値はあるかと思います。

ここまで健診事業への新規参入の現状や新規開業のポイントについてお話しいたしました。
次回は、既存の健診施設も含め、今後選ばれる施設になるために必要なことについてお話しいたします。

◆著者プロフィール

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株式会社健診ソリューションズ 
代表取締役 嶋 善彦氏

・昭和52年 三和銀行(現:三菱UFJ銀行)入行。
以降30年に渡り、新規取引先の開拓・既存取引先との取引拡充に従事。主要支店での支社長を歴任。
・平成21年10月に医療法人朋愛会へ業務出向し、1年後に同会に転籍。
朋愛病院で健診事業部長に就任し巡回健診事業の新規開業に尽力。
※令和33月期:大型バス8台で年間受診者11万人。
・平成284月 施設型の淀屋橋健診プラザを新規開設。
※令和33月期:受診者5万人
・令和41月 医療法人朋愛会退職
・令和43 株式会社健診ソリューションズ 開業 代表取締役に就任。

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